私は、紙媒体(主に書籍)でブックライティングを行ってきました。
本名(※吉井洋行はwebライターとしてのペンネームです)で出版した自分の著書は10冊以上、著者にインタビューして原稿をまとめた(ブックライティングした)本も10冊以上あります。
そんな私が、webライターとして活動するようになって感じたのは「紙媒体のライティングと、webライティング(とくにSEOライティング)とでは、書き方がかなり異なる」ことでした。
結論からいえば、SEOライティングとは「読者と検索エンジン、その両方に読みやすい文章を書くことといえます。紙媒体のような読者を満足させる文章であることに加え、Googleの検索エンジンにとってもわかりやすい文章でなければなりません。
それは、紙媒体とWebメディアでは、以下のような違いがあるからです。

読者(ユーザー)のマインドが根本的に違う
Webライターとして活動するようになって、紙媒体との違いを感じたことの1つが、読者がどんな意識で情報に接しているかということです。
本や雑誌などの紙媒体の読者は、基本的にお金を支払い、購入して読みます。代金を支払ってまで購入した情報ですから、情報を得ようとするモチベーションも高い傾向にあります。
そのため、本や雑誌を選ぶ段階から慎重です。Amazonのレビューを調べたり、書店であれば、立ち読みで中身を調べたりしてから購入する人も多いでしょう。
また、よほどひどい内容でない限り、最初から最後まで読み続けてくれるでしょう。積極的かつ能動的なのが紙媒体の読者です。その分、ライターや編集者には、高い完成度で読者を満足させることが求められます。
一方、Webコンテンツの読者は、多くの場合、検索して探した情報を無料で読みます。「読む」というより、「見る」といったほうが近いかもしれません。たまたま検索で上位にきただけで、その記事を完全に信用しているわけでもありません。中には、暇つぶしで読んでいる読者もいるでしょう。
ですから「役に立たない」「面白くない」「信用できない」と思った瞬間にブラウザを閉じたり、他を当たったりします。一方で、コンテンツが面白い、あるいは役に立つと思ってもらえれば、Twitterなどでシェアしてもらったりして拡散につながります。拡散の仕方は紙媒体よりWebメディアのほうが、はるかにスピーディーです。
ですから、Webライティングでは、なるべく早く読者の求める結論を提示することや、もったいぶった言い回しをしないことが大切です。スマホでも読みやすい、短くてわかりやすい文章が求められるのがWebメディアの特徴です。
最大の違いは「SEO」を意識して書くかどうか
ライターにとって、最も大きな違いは「SEOを意識して書くかどうか」です。
当然のことですが、紙媒体の記事に、SEOは必要ありません。読者に読んでもらえるかどうかは、媒体が培ってきた信用や、雑誌の広告に気になる見出しがあるかどうかで決まります。
しかし、WEBの記事は、検索上位に表示されていなければ、読者に読まれるどころか、気づかれることもありません。だからこそ、検索して上位に表示されるためのSEOが不可欠。ライターには、記事を検索上位にするためのSEOの知識も必要となります。
また、紙媒体では、個々の記事が、どれほど多くの人に読まれたかを正確に把握するすべがありません。しかし、Web媒体では、執筆した記事のPV数・UU数・滞在時間などの数字を計測することが可能です。そのため、記事を執筆するライターも、多くの人に読んでもらえる文章を書く責任を負うことになります。
Webコンテンツでは、検索で上位に表示されやすくするために、SEOを意識してライティングして、ページのPVを上げる努力をしなければなりません。
検索エンジンのアルゴリズムをしっかり把握して、タイトルや見出しを設定して、本文中に共起語と呼ばれるキーワードを入れていく必要があります。無理矢理、キーワードを入れようとすると、読者にとって読みづらい文章になりがちなので、自然な形でキーワードを入れるのが理想。それには筆力も問われます。
Webライティングで求められるのは「わかりやすさ」

紙媒体とWebメディアでの執筆に、以上のような違いがあることを認識した上で、求められるのは、読者にも、検索エンジンにも「わかりやすい文章と構成」を心がけることでしょう。
読者が、ワンクリックで離脱してしまうWebライティングでは、一文が短く簡潔で、文章の流れもスムーズでなくてはなりません。
起承転結といった紙媒体の構成では、「起」の段階で読むのを止めてしまうこともあります。先に結論を書いて、その結論がなぜ導き出されたのか、どんな根拠があって、その結論があるのか、といった構成がWebメディア向きです。
他にも以下のような留意点がありました。
接続詞を適切に使って流れをはっきりさせる
また(並列)、なぜなら(理由)、しかし(逆説)、といった接続詞を使って書くことで、文章の流れがはっきりとします。接続詞を適度に使えば、読者に記事の流れがわかりやすくなります。ただし、使いすぎるとクドい感じになるので注意してください。
一文一義
1つの文に複数の内容を入れると、読者は混乱します。「この文でいいたいことは、何だろう?」と思ってしまうのです。伝えたいことが多くなると、文章が長くなりがちです。できるだけ1文に1つのメーセージを込めるようにしましょう。そうすれば、わかりやすい、スッと頭に入る文章になります。
同じ文末が続くことを避ける
ライターデビューのころ、よく注意されたのが、同じ文末が続くことでした。すべての文末が「です」や「ます」で終わると、文章全体が安っぽくなります。そうなったら「ます」や「です」だけでなく「~しましょう」や「体現止め」にするなど、異なる文末にすることを意識しましょう。そうすれば、文章にリズムが生まれて、読みやすい記事になります。
また、わかりやすい文章のためには、句読点の打ち方も変わってきます。句読点の打ち方には、一定のルールがあります。しかし、Webライティングでは、そのルールよりも「わかりやすさ」が優先されるようです。(句読点の打ち方については、また、このブログで紹介します)
このように、Webライティングと、紙媒体でのライティングでは、さまざまな違いがあります。私の場合、とくに「SEOの知識」は、紙媒体をやっていたころには、無縁のものでした。ですが、Webライティングをするには避けて通れません。
ただし、わかりやすく結果が出ることは、ライターにとって「やりがい」にもなります。ライターに求められていることが変わった今、私も努力してSEOの知識を蓄えていって、上位表示が可能な記事を書いていきたいと思います。
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